ID番号 | : | 00545 |
事件名 | : | 解雇手当等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 宮崎農機製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者のなした予告なしの解雇に関連して被解雇者が、解雇予告手当、休業手当、附加金等の支払を請求した事例。(一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法20条,26条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 休業手当 / 休業手当の意義 解雇(民事) / 解雇予告手当 / 解雇予告手当請求権 解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力 |
裁判年月日 | : | 1951年1月30日 |
裁判所名 | : | 宮崎地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和24年 (ワ) 99 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集3巻6号558頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇―解雇予告手当―解雇予告手当請求権〕 〔解雇―労基法20条違反の解雇の効力〕 しかしまた一面同条所定の予告期間が労者に対し従前通りの賃金によりその生活を維持しながら新に職を求めることができるよう予期しない解雇によって直ちに被ることあるべき不利益を避けようとするものであり、また予告手当が労働者に対し右予告期間に代えて新に職を求めるための相当期間中従来同様の生活を保障せんとして一の金銭的補償をしようという点に考え至るときは、たとへ即時解雇の通告としては直ちにこれに副う効力が認められないものであってもその後に至りこれらの法の要求が充足された場合にはさきの通告は解雇の予告としての効力を具有するに至り右充足のときから解雇の効力を生ずるものと解しても強ち労働者に不利益を強いるものとは言えまいし、却って使用者の経営意思との調和をはかる所以ともなるであろう。本件において成立に争ない甲第一号証の記載に証人A(一回)の証言の一部を綜合考察すれば被告会社の意思はともかく原告等を解雇せんとするにあることは明かであるが、必ずしも原告等の主張するように即時解雇を固執せんとするものではなくて同二十四年九月十日を以て原告等を解雇するにあることを窺知し得るから(中略)右同日より法定の最短予告期間たる三十日を遥かに遡る同年七月二十五日の前期通告は右解雇の予告としての効力を有し原告等に対しては同年九月十日から解雇の効力を生ずるものと解するを相当とする。しかる以上被告会社は原告等に対し予告期間に代る予告手当を支払ういわれはないので別紙請求金額明細書中の解雇手当(同請求書備考(二)により前説示予告手当と同義なることは明かである)の請求は失当として排斥を免かれない。 〔賃金―休業手当―休業手当の意義〕 労働基準法第二十六条は使用者の責に帰すべき事由による休業の場合において使用者がその休業期間中当該労働者に対し同法第十二条によって算出した平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならないことを規定しているが、特別法社会法としての同法の精神に鑑み、また労働による賃金のみを唯一の生活の糧とする労働者に対しその最低生活の保障を期した同条の趣旨に徴すれば、先づ右に掲げた「使用者の責に帰すべき事由」とは、民法のいう「債権者の責に帰すべき事由」が債権者の故意又は過失或は信義誠実の原則から判断してこれらの責任条件と同視すべきものを意味して極めて狭義に解しているのとその範囲を異にし更に広く使用者の管理上経営上の責任換言すれば企業経営者として不可抗力を主張し得ないすべての場合を含み、また民法上賃金請求のために要求される労務の提供の如きは本条の休業手当の場合にはこれを必要としないものと解するのが相当である。 |