ID番号 | : | 00572 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大和伸銅事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 窃盗行為について情を知りながら黙認していたことを理由として解雇された労働者が右解雇の無効確認、賃金支払を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法20条1項,3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 労働者の責に帰すべき事由 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 除外認定と解雇の効力 |
裁判年月日 | : | 1959年9月12日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ワ) 6602 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集10巻5号811頁/時報204号30頁/タイムズ94号62頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇―解雇予告と除外認定―労働者の責に帰すべき事由〕 被告会社代表者A尋問の結果によれば、原告は解雇当時被告会社の熔解部の部長であり、かつ、熔解部、圧延部、製棒部の各部の連絡ならびに各部従業員の監督等の仕事をする職長の地位にあったことが認められ、右認定に反する原告本人尋問の結果は採用できない。 かような地位にある原告が部下工員らの真鍮粉の窃取の計画があることを事前に知りながらこれを黙認して部下工員の窃取行為を容易ならしめ、かつ、盗み出した工員にその盗品を自宅に運ぶようにいいながら事件が警察よりの通報で被告会社に知られるに至るまで被告会社に連絡するところがなかったのは、職長としては重大、悪質な職務懈怠であって、原告の解雇については労働基準法第二〇条第一項但書にいう労働者の責に帰すべき事由があるものというべきである。 従って、かかる事由に基いて解雇する場合には三〇日前の予告又は三〇日分の平均賃金の支払を必要とするものではない。 〔解雇―解雇予告と除外認定―除外認定と解雇の効力〕 労働基準法によれば、即時解雇の場合においては原則として予めその事由について労働基準監督署長の認定を受くべきものと解されるから、被告の原告に対する解雇はこの点については同法違反であると認められる。しかし、労働基準法が即時解雇の要件として設定したのは同法第二〇条第一項但書の事由の存在だけであって、その事由を使用者が恣意的に拡張解釈しないよう行政的に制限しようとするため同法第二〇条第三項、第一九条第二項の規定が設けられたものと解せられるから、右規定による労働基準監督署長の認定は即時解雇の有効要件とは解されない。 そして、前説明のとおり、原告に対する解雇については同法第二〇条第一項但書にいう「労働者の責に帰すべき事由」が存するのであるから、被告が原告の解雇について所轄労働基準監督署長に対する除外認定の申請をすることが遅れたことないし右申請に対する同署長の認定がまだないことはいずれも右解雇の効力に消長を来すべき事情とは認められない。 |