ID番号 |
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00575 |
事件名 |
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仮処分異議申立事件 |
いわゆる事件名 |
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山陽電気軌道事件 |
争点 |
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事案概要 |
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いわゆる替玉投票を教唆ないしは実行したことで刑事罰を受けたことが、労働基準法第二〇条第一項ただし書後段にいう「労働者の責に帰すべき事由」に当たらないとされた事例。 |
参照法条 |
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労働基準法20条1項 |
体系項目 |
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解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 労働者の責に帰すべき事由 |
裁判年月日 |
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1964年5月8日 |
裁判所名 |
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山口地下関支 |
裁判形式 |
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判決 |
事件番号 |
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昭和37年 (モ) 87 |
裁判結果 |
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(控訴) |
出典 |
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労働民例集15巻3号453頁 |
審級関係 |
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一審/01714/広島高/昭40. 9.13/昭和39年(ネ)117号 |
評釈論文 |
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松田保彦・ジュリスト360号130頁 |
判決理由 |
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労働基準法第二〇条一項但書は「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」の外は「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」にのみ即時解雇を認めている。そして右「労働者の責に帰すべき事由」とは労使双方の立場を労働契約上の権利義務の面で公平に勘案して使用者に解雇に当っての予告又は予告手当の支給を要求する必要のない程度に重大な背信的行為が労働者にあった場合を指しているものと理解され、それは必しも企業内部での所謂私契約上の債務不履行といった場合にのみは限定されないであろうが、本件の如き企業外での出来事で刑事罰を受け、当該企業の名誉を損傷したといった広い意味での義務違反の場合はそれが、或いは右企業の信用を或る程度左右し、経済的な面での影響も無視できない程度に重大な場合に限定すべきで本件の場合申請人両名の前記刑事罰が右即時解雇に値いする程重大なものとは認め難い。従って本件は仮に被申請人において解雇し得る場合であるとしても通常解雇の方法によらない限り有効なものとはなし得ない。(もっともこの点は成立につき争のない乙第二四号証によって疏明される金一封及び生活費補給金を実質的に予告手当として解する余地がなくもないがこの点については被申請人より明確な主張がない。) |