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ID番号 00578
事件名 解雇予告除外認定拒否処分取消請求事件
いわゆる事件名 京都厚札自動車事件
争点
事案概要  解雇予告除外認定を拒否された会社が、拒否処分の取消を請求した事例。(請求却下)
参照法条 労働基準法20条
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 除外認定と解雇の効力
解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 除外認定と抗告訴訟・不服審査
裁判年月日 1972年4月1日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (行ウ) 28 
裁判結果 却下(控訴)
出典 行裁例集23巻6・7合併号373頁/時報671号89頁/タイムズ279号247頁/訟務月報18巻11号1733頁
審級関係
評釈論文 佐藤進・ジュリスト532号116頁
判決理由  〔解雇―解雇予告と除外認定―除外認定と解雇の効力〕
 被告の主張するとおり、除外認定は即時解雇の効力要件ではなく、即時解雇の意思表示の効力または解雇予告手当の支払義務の有無は、もっぱら解雇予告除外事由の客観的存否によって決せられるのである。(この点についての原告の主張は採用できない)従って右除外認定(またはその拒否)処分は、使用者と労働者との間の雇傭契約上の権利義務に何らの影響も及ぼすものではない。
 〔解雇―解雇予告と除外認定―除外認定と抗告訴訟〕
 労基法第二〇条第一項但書によれば、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合には、使用者は、予告期間をおかず、かつ予告手当を支払うことなく労働者を解雇できるのであるが、同条第三項によって使用者は右解雇予告除外事由について行政官庁の認定を受けなければならず、除外認定を受けずに即時解雇をすると、たとえ実質的に即時解雇の要件が具備していて、その解雇が有効である場合でも同法第一一九条第一号によって、六ケ月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処せられることになっている。解雇予告除外事由について行政官庁の認定を受けるべきこととしたのは、使用者が自己の恣意的判断によって予告手続を経ずに即時解雇をすることを抑制しようとする労務行政上の見地に基くものである。従って、使用者と労働者間の私法上の雇傭契約の効力に影響を及ぼさないという事が直ちに除外認定(又はその拒否)処分が抗告訴訟の対象となる行政処分にならないとする結論に直結すると考えることは出来ない。即ち使用者としては、私法上即時解雇の要件が具備していても、除外認定を受けずに即時解雇をすれば、解雇そのものは有効であっても処罰の対象になることから免れることは出来ないし、又除外認定拒否処分があった場合処罰の危険を冒さなければ即時解雇が出来ない法的拘束を受けることになるから、右処分は使用者の法律上の利益に直接影響を及ぼす行為というべきである。
 よって、除外認定拒否処分は抗告訴訟の対象となる行政処分というべきである。