ID番号 | : | 00585 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 松屋事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 三ケ月の見習期間経過前に前歴詐称を理由とする解雇につき、労働基準法二〇条一項但書にいう「労働者の責に帰すべき事由」にあたるとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法20条1項,89条1項9号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 経歴詐称 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 労働者の責に帰すべき事由 |
裁判年月日 | : | 1955年4月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和29年 (ヨ) 4059 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集6巻2号250頁/労経速報172号5頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 労働経済旬報267号18頁 |
判決理由 | : | 〔解雇―解雇事由―経歴詐称〕 右事実によれば申請人は見習期間中に解雇されたものであって、三箇月の見習期間を就業規則に定めた趣旨はその期間中に会社は見習者の従業員としての適性を審査し、これを不適格と判定し且つ判定するについて相当の理由を有するときは解雇する権限を留保する趣旨であると解するのが至当である。 そして申請人が前記のように二つの前歴を隠匿したことは会社企業の見地から自己の全人格的価値判断をなすについての重要な経歴を詐称したことに外ならず、これによって誤った認識を惹き起させるに充分であるといわざるを得ないから、この不信義的行為を理由として本採用とならず解雇の挙に出られてもやむを得ないものといわなければならない、このことは前歴にかかる就職期間の短いことをもって結論を左右するものではない。 〔解雇―解雇予告と除外認定―労働者の責に帰すべき事由〕 申請代理人は右解雇には予告期間の定めなくまた予告手当の支払がないから無効である旨主張するけれども、本件解雇は労働基準法第二十条第一項但書にいわゆる労働者の責に帰すべき事由に基いてなされたものであること明らかであるから右主張は理由がない。 |