全 情 報

ID番号 00593
事件名 賃金等請求事件
いわゆる事件名 三和建設事件
争点
事案概要  採用後の早い時期に退社して解雇予告手当を得る目的で会社を転々としていた労働者が、無断欠勤を理由に解雇されたのに伴い解雇予告手当等の支払を請求した事例。(一部認容、一部棄却、過払社会保険料とその損害金のみ認容)
参照法条 労働基準法20条1項
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 労働者の責に帰すべき事由
裁判年月日 1969年3月31日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和41年 (ワ) 8005 
裁判結果 一部認容
出典 時報566号89頁/タイムズ240号212頁
審級関係
評釈論文 阿久沢亀夫・判例評論131号24頁
判決理由  ところで原告は本件とほゞ同種の訴訟を現に当庁民事第一一部に二件提起している他、原告はこれ迄も同種の訴を屡々当庁へ提起しており、このことは当裁判所に顕著な事実である。加えて原告は前記のように、昭和三七年一月以降勤務したいくつかの会社を履歴書に記載せず、更に弁論の全趣旨から原告は欠勤する旨の会社への電語連絡をテープに採るなど、通常では考えられないような事前措置を講じていることも認められる他、更に前記のように七月になると急に欠勤をはじめたことや、被告会社代表者本人尋問の結果によれば、原告は会社を退社してから間もない昭和四一年八月五日「A」というところに給与月額五〇、〇〇〇円で雇用され一ケ月勤務した後退社したが、その際一四〇、〇〇〇円余を請求して差押えを行ったり、続いて雇用された「B」でも悶着を起して辞めたことが認められることに徴すると、原告が会社を早い時期に退社して解雇予告手当を得ようとしたのは、同人のかねてよりの意図にもとづくものと推認せざるをえない。
 とすると、原告の勤務はこのような意図のもとに行われ、その結果前記認定のような勤務振りとなって現われたものと考えられる。そうであれば、も早このような執務態務と出勤成績不良の事実の存する原告を、予告手当を支給してまであえて保護する必要はないというべく、従って右事実をもって労働基準法第二〇条に定める労働者の責に帰すべき事由に該ると解するのが相当である。