ID番号 | : | 00602 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 科研化学事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 被申請人会社から、人員整理の必要がないのに整理解雇された者が右解雇の意思表示の効力停止の仮処分を申請した事例。(申請却下) |
参照法条 | : | 民法1条3項 労働組合法16条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の要件 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性 |
裁判年月日 | : | 1955年10月15日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和28年 (ヨ) 4012 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集6巻6号1037頁/時報68号22頁/労経速報192号2頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇―整理解雇―整理解雇の要件〕 従業員の責に帰すべからざる事由によって会社が経営困難に陥った場合には企業の整備計画に基いて余剰の従業員を解雇することが許されないとする法律上の根拠はなく、またその経営困難になったことが申請人らの主張するような経営者の怠慢等その責に帰すべきものであったとしても右の結論に変りはないといわなければならない。蓋し企業の整備計画は元来経営者の専行するところであって、その計画樹立に至る動機原因の如何によって左右されるものではないのであるが、その整備計画に基く人員整理即ち解雇が信義に反し又は解雇の濫用となる場合はその解雇は無効であること勿論である。しかして専ら従業員に損害を与える目的で人員整理に名を藉り解雇する場合とか整理以外の方法によって経営困難を打開できる方策があって人員整理の必要が存在しないのに拘らず、これがあると称してなす解雇は一般に解雇権の濫用に該当するものとしてその解雇は無効であるということができよう。しかしながら本件の解雇が右のような事情によってなされたものと認むべき疏明はなく、寧ろ前段に説示した事実によればこのような濫用に当らないものというほかはない。したがって人員整理を余儀なからしめた原因である経営困難が経営者の経営方針の誤謬又は経営能力或は経営努力の不充分によって招来されたとしてもその一事によってその整理に基く解雇が直ちに解雇権の濫用として無効ということはできない。 〔解雇―整理解雇―整理解雇基準〕 使用者が人員整理にあたり協約により整理基準を決定した場合は勿論、従業員に対してその基準を定めて発表した場合には整理に基く解雇権をその基準該当者に限る旨限定したものでありまた右の整理基準はひとり使用者側の主観的解釈にのみ委ねらるべきものではなくて協約によって定められた時は当事者の意思を探究して解釈されなければならないことは勿論であり、そうでなく一方的に基準の認定された場合でも基準の趣旨と基準に該当するかどうかは客観的合理的に解釈決定されなければならない。 |