全 情 報

ID番号 00657
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 第一小型ハイヤー事件
争点
事案概要  業務命令違反、無断欠勤、服務規律違反等を理由になされた懲戒解雇を無効であると主張し、地位確認と賃金支払の仮処分を求めた事例。(一部認容)
参照法条 労働基準法2章
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / ストライキ中の業務命令
解雇(民事) / 解雇の承認・失効
裁判年月日 1967年3月7日
裁判所名 札幌地
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ヨ) 50 
裁判結果 (控訴)
出典 労働民例集18巻3号509頁
審級関係 控訴審/01151/札幌高/昭45.10. 5/昭和42年(ネ)49号
評釈論文
判決理由  〔労働契約―労働契約上の権利義務―ストライキ中の業務命令〕
 このように、組合がストライキを行なっているさいに発せられた業務命令については、ストライキが、労働者の労務の不提供とともに、業務上の指揮命令系統からの離脱という結果を当然に伴なうものであることからすれば、そのストライキないしはこれに付随して行なわれる争議行為が違法なもの、あるいは正当性の範囲を逸脱しているものである場合でないかぎり、労働者がこれに対して服従義務を負うべきものではないといわなければならない。
 〔解雇―解雇の承認・失効〕
 まず、成立に争いない疏甲第四〇号証によると、債務者主張のように、前同日会社と組合との間で、就労の際取り交された確認書には、就労に際しXは解雇により就労できない旨の条項があり、右確認書には組合側は債権者Xが組合委員長として記名押印していることが認められる。しかし、組合が組合員の解雇を認めたからといって、その解雇が無効な場合に組合員が賃金請求権を失なうということがありえないのは当然である。ただ本件の場合は、組合の委員長と、解雇された組合員とが同一人であるという事情があるために、組合が解雇を承認したことが個人としてもこれを承認したことになるのではないかということが一応問題になりうるだけである。ところで、解雇という事実は労働者にとって、賃金請求権を失なうというきわめて重大な身分的変動に関することがらであるから、軽々に組合の機関としての意思と一組合員個人としての意思とを同一に考えるべきでなく、本件の場合も、債権者X個人が自己の解雇を承認したものとみるのは相当でない。