ID番号 | : | 00658 |
事件名 | : | 雇用関係存続確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大映事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | いわゆるレッド・パージに関する連合国最高司令官覚書に従い解雇された従業員が、右解雇は思想、信条を理由とする差別的取扱に当り無効である等として雇用関係の存在確認を求めた事件の控訴審。(控訴棄却、労働者敗訴) |
参照法条 | : | 労働基準法3条,20条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) 解雇(民事) / 解雇の承認・失効 |
裁判年月日 | : | 1970年4月30日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ネ) 1842 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | タイムズ252号281頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則―均等待遇―信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 前記説示のとおり右連合国最高司令官の指示は、当時わが国の国家機関及び国民に対し、法規としての効力を有し、最終的権威をもっていたものであるから、日本の法令は右指示に牴触する限りにおいてはその適用を排除されるこというまでもないところであり、(最高裁判所昭和二七年四月二日大法廷決定、民集六巻四号三八七頁以下参照)また、ポツダム宣言を受諾した日本国としては右連合国最高司令官の指示がポツダム宣言及び連合国の対日基本政策ないしは思想、信条の自由を保障するという確立された国際法規範ともいうべき近代法の基本理念等、控訴人ら主張のより上位の法規範に違反するか否かの審査権をもつ立場にないのであるから(最高裁判所昭和四〇年九月八日大法廷判決、民集一九巻六号一、四五四頁以下参照)、 前記解雇基準に該当する控訴人X1、同X2及び同X3に対し被控訴人が右連合国最高司令官の指示に従ってなした本件解雇は、控訴人ら主張の思想、信条を理由とする差別待遇や不当労働行為を禁ずる憲法その他の国内法もしくは労働協約又は就業規則に違背するかどうかにかかわらず、また右指示が控訴人ら主張の前記上位規範に違反するかどうかにかかわらず、有効なものであるとしなければならない。 〔解雇―解雇承認・失効〕 右控訴人ら四名は前記認定の如く、直接被控訴人から異議なく解雇予告手当及び退職金を受領し、又は、何らの留保もすることなく、被控訴人のした解雇予告手当の供託金の還付を受け、直接被控訴人から異議なく退職金を受領したものであるから、特段の事情のない本件では、自己の使用者たる被控訴人に対する本件解雇予告手当及び退職金の請求権の存在を認めたものであり、したがって、その前提となる本件解雇の効力を承認し、解雇の効力を争わない意思を表明したものと解するのが相当である。 |