ID番号 | : | 00674 |
事件名 | : | 地位確認等請求控訴、同附帯控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 東海カーボン事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ユニオンショップ協定に基づき、労働組合の除名処分を受けた従業員を解雇したことにつき、右処分には会社の介入があり右解雇は無効であるとして、従業員としての地位の確認を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇 |
裁判年月日 | : | 1980年12月16日 |
裁判所名 | : | 福岡高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (ネ) 472 昭和55年 (ネ) 30 |
裁判結果 | : | 一部変更(確定) |
出典 | : | 労働民例集31巻6号1265頁/時報997号158頁/労働判例355号34頁/労経速報1078号3頁 |
審級関係 | : | 一審/03401/福岡地小倉支/昭52. 6.23/昭和50年(ワ)657号 |
評釈論文 | : | 北本修二・労働判例368号4頁 |
判決理由 | : | 本件解雇はいわゆるユニオン・ショップ協定に基きなされたものであるところ、被告会社に解雇義務が生ずるのは、組合員が有効に除名された場合に限られ、除名が無効な場合には、会社は解雇義務を負わず、かかる場合になされた解雇は、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がない限り、解雇権の濫用として無効と解するのを相当とする。 (中 略)。 ユニオン・ショップ協定に基く解雇がその前提たる除名処分の無効によって無効とされる場合、直ちに不法行為を構成することはないが、会社がその除名処分の無効であることをすでに認識し、あるいは十分認識しえたのにこれを看過して解雇を行なったときなど、その解雇は被解雇者に対する不法行為を構成することがありうる。 そして本件の場合、控訴会社は単に組合からの除名の通告をまってユニオン・ショップ協定による解雇を行なったというにとどまらず、前記のように控訴会社自身、組合の統制権の行使にまで言及してこれに不当な影響を及ぼし、違法な除名処分を招来したものであり、それに至る経緯も熟知していたものであるから、本件除名処分が客観的に合理性のないものとして無効であり、ひいてはこれに基く解雇の無効も十分に認識しえたものと判断され、もし控訴会社においてその認識がなかったとすれば過失は免れず、したがって、控訴会社は被控訴人らに対し右解雇による不法行為責任を免れないものというべきである。 |