全 情 報

ID番号 00676
事件名 地位保全等仮処分申請控訴事件
いわゆる事件名 豊年製油事件
争点
事案概要  上部団体からの脱退を決議した組合の方針に反対し新組合を結成した被控訴人らが右組合から除名され、ユニオン・ショップ協定に基づき控訴人会社により解雇されたため、地位保全と賃金支払の仮処分を申請した事例。(一審 認容、控訴棄却)
参照法条 民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇
裁判年月日 1982年7月2日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和55年 (ネ) 2150 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1127号18頁/労働判例394号50頁
審級関係
評釈論文
判決理由  「ところで本件の被控訴人らの参加人組合から脱退のように、労働組合の運動方針と相いれない組合員が、新組合を結成する目的のもとに集団で組合を脱退し、脱退と同時にまたは合理的期間内に右目的どおりに自主的に新組合を結成した場合には、既存の労働組合と使用者との間に締結されたユニオンショップ協定は、脱退者に対しては効力を及ぼさないものと解すべきである。既存の組合が多数の組合員を擁し、新組合が少数の組合員しか擁しないとしても、ともに自主的に結成されたものである以上は、両組合の各団結権が平等に対立して併存するものであり、各団結権相互の間に優劣をつけることはできないからである。このように解すると、控訴人のいうようにユニオンショップ協定の効力を弱めることは否定しがたいところであるが、しかしこのような場合にまでユニオンショップ協定の効力を脱退者に及ぼしてその脱退者に既存組合への加入を強制することは、もともと個々の被用者に保障されている労働組合組織選択の自由、ひいて脱退者がすでに新組合を結成して現実に行使している団結権を侵害する結果を容認することになるのであり、このような解釈はとることができないというほかない。本件においては、前記のとおり、被控訴人らは参加人組合を新組合結成のため脱退し、脱退と同時に新組合を自主的に結成しているのであるから、本件ユニオンショップ協定に基づいてした控訴人の本件解雇は、その効力を有しないものというべきである。