ID番号 | : | 00698 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 東光電気事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 工場侵入の理由により懲役一年の刑の言渡を受け控訴中に、履歴書に賞罰なしと記載して雇入れられた者が、就業規則にいう「重要な経歴を詐って雇い入れられた者」に該当するとして解雇されたため、右解雇の意思表示の効力停止の仮処分を申請した事例。(なお、控訴審では、四年の執行猶予で刑は確定した。請求認容) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 経歴詐称 |
裁判年月日 | : | 1955年3月31日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和29年 (ヨ) 4006 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集6巻2号164頁/時報50号17頁/労経速報168号2頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 労働経済旬報270号12頁/労働判例百選〔ジュリスト252号の2〕48頁/労働法令通信8巻36号1頁 |
判決理由 | : | 本件のように前歴詐称を理由とする懲戒解雇の場合において、その詐称がなかったならば、雇い入れられなかったであろうという因果関係が社会的に相当であると認められるときは解雇に値するものと解すべきである。 (中 略) 申請人がこのようにして六年間会社に勤務したということは雇入当時の前歴詐称という信義違反に対する社会的評価をなすについて、情状的判断に影響を及ぼすものといわなければならない。即ち労働者の雇入前の非難すべき行動(犯罪行為)と雇入当時の背信行為(前歴詐称)はその労働者が長期間会社の経営に寄与した後においては勤務当初におけると同様の企業に対する反価値的判断をなすべきではないと考える。 |