ID番号 | : | 00706 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 笹屋事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会計事務のやり方がまずい、他の従業員との折合が悪いことを理由として解雇された労働者が右解雇の効力停止、賃金の支払を求めて仮処分を申請した事例。(申請認容) |
参照法条 | : | 労働基準法93条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 就業規則所定の解雇事由の意義 |
裁判年月日 | : | 1959年10月31日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ヨ) 216 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集10巻5号853頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | かくして一旦制定せられた就業規則は当該企業における労使双方に普辺的に妥当する労働法秩序の一環を構成する一の法律上の制度をなすものであって、それ自体使用者の意思から独立した客観的存在となるものと解せられ、就業規則を遵守しなければならずまた誠実に規則所定の規範実現に努めなければならないという地位におかれることにおいては使用者も従業員も全く平等無差別であって、かかるものとしての就業規則に従業員を解雇すべき事由を定めた場合は解雇が労働者にとってはその労働契約関係を終了消滅せしめるものとして最も重大な待遇の変更であるが故にその解雇事由はまた最も重要な労働条件をなし、従って就業規則における解雇条件に関する規定は労働条件の基準をなす規範であるといわなければならない。 いやしくも一旦法定の手続要件を具備して制定存在するに至った就業規則中に解雇の基準が規定せられている限りは使用者の従業員に対する解雇権の行使は、もしそれが民法の原則によれば当該労働契約関係が雇傭契約の面においては期間の定のないものとして雇傭主に一方的解雇の自由が認められる場合であっても、労働関係としては右就業規則所定の解雇基準に該当する場合に限つて許されるのであって、右基準の適用によらない解雇権の行使は許されないところと解さなければならない。そして債務者が本件解雇をなすにつき全く債務者会社の前記就業規則に準拠するところのなかったことは債務者の自認するところであるから右解雇は右就業規則によって既に規範的にその行使を制限せられている解雇権を債権者に対し行使したものとして濫用というべく許されないところである。 |