ID番号 | : | 00719 |
事件名 | : | 仮処分命令申請控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 川崎製鉄事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 一年間の臨時工としての期間満了にともなう契約の消滅につき、地位保全の仮処分申請に対する棄却についての労働者側からの控訴。(棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法21条 民法629条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1963年10月23日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (ネ) 1099 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 時報359号56頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 高藤昭・労働経済旬報581号29頁/峯村光郎・法学研究〔慶応大学〕37巻6号82頁 |
判決理由 | : | 期間の定めある労働契約においても、右期間満了後も被傭者においてその継続すべきものと期待することに合理性のある場合には、右期待はそれ自体保護を受くべきものであって、使用者において正当な事由なくして右期待に反し期間満了のみをもって労働契約の終了を主張することは信義則上許されないと解するのが相当である。これを本件についてみれば、被控訴会社のなした本工不採用決定には正当の事由を要するものというべきであって、本件雇傭契約の前記性格によれば、右正当事由はその臨時工たる性格からして被控訴会社における雇傭量調節の必要性の存在と、さらにその本工登用制をも兼有している点からして本工登用の基準設定ならびにその基準適用に合理性の存することを要すると解すべきである。 (中 略) 結局以上考察したところによれば、控訴人を本工に採用しなかった被控訴会社の決定には正当性があるというべきであるから、被控訴会社が昭和三六年六月三〇日の期間満了とともに控訴人との雇傭関係の終了を主張し、その就労を拒否することに違法はない。 七、しからば、本件雇傭契約は昭和三六年六月三〇日の経過とともに終了し、控訴人は被控訴会社の従業員たる地位を失うにいたったものであるから、右従業員たる地位を有することを前提とする本件仮処分申請は理由がない。 |