ID番号 |
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00734 |
事件名 |
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いわゆる事件名 |
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日本ロール製造事件 |
争点 |
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事案概要 |
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ストライキが長期化したため、各種保険の労働者負担分を申請人らから償還できない被申請会社がそれを免れるために申請人らを解雇したため、申請人らが右解雇の効力停止の仮処分を求めた事例。(申請認容) |
参照法条 |
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民法1条2項,3項 |
体系項目 |
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解雇(民事) / 解雇事由 / 附随的義務の不履行 |
裁判年月日 |
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1966年12月13日 |
裁判所名 |
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東京地 |
裁判形式 |
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決定 |
事件番号 |
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昭和40年 (ヨ) 2260 |
裁判結果 |
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出典 |
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労働民例集17巻6号1361頁/時報476号58頁/タイムズ200号128頁 |
審級関係 |
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評釈論文 |
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判決理由 |
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2 考えてみると、前記各種保険の被保険者たる債権者らは事業主たる会社において納付した保険料のうち自己負担分を直ちに会社に償還すべき義務がある(厚生年金保険法八四条、健康保険法七八条の源泉控除の制度は右償還義務の履行を簡素化するため労働基準法二四条の特則を定めたものにすぎない。)が、右償還義務は被保険者と事業主との間の労働契約の要素ではなく、その付随的義務に属する。そうして、法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣旨は、契約の要素をなす債務の履行がないため該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであるから、当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない付随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解すべきである。従って、会社が過去に発生した債権者らの前記保険料償還義務の不履行によって経理上著しい負担を蒙り、経営に困難を来たしたことの疎明がない本件においては、右にいう特段の事情があるとはいえず、会社は右付随的義務の不履行を理由として債権者らを解雇し得ないことは勿論である。 |