ID番号 | : | 00749 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分事件 |
いわゆる事件名 | : | 多摩美術大学事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 職務不適格、経歴詐称を理由に解雇された美術大の総務部長兼助教授が、右解雇には相当の理由がなく解雇権濫用にあたり無効である等として地位保全等求めた仮処分申請事件。(賃金仮払のみ認容) |
参照法条 | : | 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 |
裁判年月日 | : | 1969年12月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ヨ) 2311 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働判例95号40頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | しかしながら、総務部長解職の理由である職務怠慢ないし本件において被申請大学が主張する管理職員としての自覚がなく、学生補導の適切を欠くという点については、殆んどこれを認めるに足りる具体的な事実はない。 (中 略) 右認定の事実からすると、被申請大学が申請人に対してした総務部長解職の意思表示は、合理的な相当の理由を持たないものであるというべきであるから、権利の濫用に該当してその効力を生じないものというべきである。 次に助教授の地位の解任が問題となるが、前記認定のとおり被申請大学が申請人を助教授に併任したのは、専ら対学生関係における折衝のための便宜的なものであって、申請人もその点を十分了知した上、助教授の任命を受けたものであると共に、助教授に任命するための体裁を整えるためとはいえ、発表したこともない論文を発表したものと履歴書に記載したことについては、申請人自身にも一半の責任があるのみならず、その担当科目も申請人の専門でない哲学であった(その後歴史学担当となったが、被申請大学には歴史学の講座自体存在しなかった。)ことに鑑みれば、それを本来の正しい姿に復するために、申請人の助教授の職を解くについてはそれ相当の合理的理由があり、その解任の意思表示は正当であり、有効にその効力を生じたものであるというべきである。 |