判決理由 |
: |
被控訴人らの前記(一)のうち、(1)の行為を除く、その余の行為によってAは控訴人の業務の運営執行とくに経理に関して数々の不正不当な乱脈行為があったかのような虚偽の事実を記載した印刷物を多数人に配布され、その名誉信用を著しく侵害されたのであるが、右はすべてAが控訴人の専務理事たる地位においてなしたものであるとするのであるから、同時に控訴人の業務の運営執行とくに経理に関して数々の不正不当な乱脈行為があったことを意味するため、それによって控訴人の名誉信用も同時に毀損されるにいたったものといわねばならない。しかも、右の事実に当審証人Aの証言を合わせ考えると、被控訴人らが前記産経時鐘などを会員多数に配布したところ、控訴人の信用を失墜し、従来五、六〇名程度の脱会者があったにとどまったのに、右の配布された頃から脱会者が続出し一九八名の多きを数えるにいたり、経営が困難になってきた事実(なお控訴人は昭和四四年七月ころ解散した)が認められ、右の点は被控訴人らの本件名誉毀損行為がその原因の一部をなしていると推認されることなどを考えあわせるときは、被控訴人らの控訴人に対する名誉信用の侵害の程度は著しく大なるものがあり、したがって、控訴人が被控訴人らの前示行為を理由として、同人らを解雇する旨の決意をするためにいたったのは、まことに已むを得ないことであったというべきである。 |