全 情 報

ID番号 00764
事件名 地位保全仮処分控訴事件
いわゆる事件名 日放サービス事件
争点
事案概要  派遣を主たる業務とする会社の従業員が、再三派遣先の変更を受けたが病気を理由に派遣先業務が不適であるとして再派遣を申し出たため、勤務成績不良を理由に解雇されたのに対し、そうした事情はなく解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めた事件の控訴審。(控訴認容、労働者敗訴)
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 1971年7月8日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ネ) 468 
裁判結果
出典 労働判例133号21頁
審級関係
評釈論文
判決理由  被控訴人がA会社へ派遣されていた約二年の間に、その直接の監督の立場にあった班長らによる被控訴人の勤務ぶりについての印象は、要するに勤務態度一般が余人に比して不良であり、その処置に「もてあまし」を感じたという点で一致していた。
 (中 略)
 そこで、被控訴人を本社サービス課に配置換をなし、テレビの修理組立の仕事を担当させた。
 (中 略)
 祖生局の主任者からB会社本社に対する文書をもって、被控訴人は同所の職務に就いても、仕事をおぼえようとする意欲も熱意もなく、無断で代休をとり、同僚との協調性を欠き、監督者に対し反抗的な態度がある等を指摘して同局としてはこれ以上被控訴人を必要としない旨の申し出があった。
 (中 略)
 最後に、控訴会社は同四二年四月一日からC会社府中工場に派遣する要員が必要であったため被控訴人をこれに加えて同工場に配属し、同人は同所でスタジオ機器の検査業務、集積回路等の図面の写し書等の業務に従事した。しかし、ここでの勤務中にも、昭和五二年四月は勤務すべき日数二二日のうち欠勤三日、遅刻三回(合計三時間四五分)同年五月は勤務すべき日数二二日のうち欠勤四日、遅刻六回(合計一〇時間)同年六月は約一二日欠勤(遅刻回数、時間不詳)、するなど遅刻、欠勤の回数が増加した。
 (中 略)
 被控訴人が希望したA会社への再派遣は、監督者及び同僚の喜ばないところであるから、再びその途を選びがたいものであることに意見が一致し、さりとて他に仕事を与え得ないままに雇傭関係を続けることは、商事会社の忍び得ないものとして、三〇日分の解雇予告手当二四、六三〇円その他を提供して解雇の意思表示をするに至った。
 (中 略)
 控訴人が被控訴人に対してなした解雇の意思表示は、法定の解雇制限に触れることなく、控訴人会社の定める前示就業規則第一九条一号及び三号の定める事由ある場合に該当するものと一応認められ、その限りにおいて合理的かつ相当な理由を含むから、その効力がないものとはいえない。