ID番号 | : | 00767 |
事件名 | : | 懲戒解雇の無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 木津川倉庫懲戒解雇事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社乗取りをめぐる紛争への関与の責任をとらされる形で常務取締役を辞任し、役員待遇の嘱託として勤務していた者が、懲戒解雇に付せられたので、懲戒解雇無効確認を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法9条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 嘱託 |
裁判年月日 | : | 1972年1月28日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (ワ) 452 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | タイムズ277号345頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 原告は入社当初から営業担当常務取締役としてAとともに被告会社経営の中心的役割を果していたものであつて、当時被告会社の使用人たる地位を兼ねていたと認めるべき情況も特にないので、常務取締役当時の原告と被告会社との法律関係はもつぱら準委任契約関係であり、従つて原告と被告会社との本件嘱託契約の法律上の性質は労働契約ではなく、準委任契約であると解するのが相当である。それ故被告会社が原告との本件嘱託契約を解約するについては、役員待遇の嘱託たる原告に就業規則たる社則の適用はなく、準委任契約の解約として律すべきものである。 ところで、本件嘱託契約は有償委任契約であるが、期間の定めがないものであり、かつ株主総会の決議による取締役の解任について商法第二五七条は同法第三四三条による特別決議を要するものとしてその手続を慎重ならしめているものの、解任の事由および時期については、一定の場合に当該取締役により損害賠償請求を許すのみで、解任の自由を原則としていることにかんがみ、本件嘱託契約の解約については民法第六五一条により得るものと解するのが相当である。 以上のとおりであつて、本件嘱託契約の終了を目的とした本件懲戒解雇の意思表示は、その実質は民法第六五一条による準委任契約の解約であつて、右意思表示が原告に到達した昭和三九年五月二五日限り解約によつて本件嘱託契約は終了したものといわざるを得ない。 |