判決理由 |
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「以上認定事実より判断すると本件転勤命令は被控訴人らがすゞこ缶詰を盗んだことを前提としてなされたものであることは明らかであり、控訴人の横浜営業所の作業量の約一〇〇パーセントがA会社の下請であり同社から控訴人に被控訴人らを同社の依頼する作業に従事して貰っては困るとの強い申入があり本件転勤命令を出さざるを得なかった事情にあったとしても、盗難の事実の有無、その犯人が控訴人の従業員であるかどうかについて究明することなく(原審証人B、同C、同Dの各証言、原審原告X1、同X2、同X3の各本人尋問の結果を綜合すると、控訴会社も一応盗難の事実の有無については調査をしたものではあるけれども、それが被控訴人らの行為によるものであることについて調査が十分であったとは云い難く、逆にたやすく被控訴人らの行為によるものと速断した嫌いのあることが推測される。)被控訴人らの行為によるものとして本件転勤命令をなしたことは不当というべきである。而も被控訴人らに原審証人Dの証言によって真正に成立したものと認める乙第一号証によって認められる控訴会社の就業規則第二五条に規定する解雇事由に該当する事実は本件全証拠によっても認められないので、本件解雇は無効のものと解するのが相当である。」 |