ID番号 | : | 00792 |
事件名 | : | 地位確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | ニッセイ電機事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ドルショック対策を理由に試用期間中の電機会社設計掛に対してなされた解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 就業規則所定の解雇事由の意義 |
裁判年月日 | : | 1975年3月27日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和49年 (ネ) 931 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 時報776号90頁 |
審級関係 | : | 一審/長野地諏訪支/昭49. 4. 3/昭和47年(ワ)17号 |
評釈論文 | : | 小西國友・労働判例232号11頁 |
判決理由 | : | 右認定の事実によれば、控訴会社としては機械設計に関する技能と経験を有する人材を採用するという積極的な態度で右人事を行なったものであって、近い将来設計業務が縮少廃止されるようなことがあれば、当然被控訴人を解雇することになるというようなことは被控訴人採用当時は全く予想していなかったものと判断するのを相当とする。してみれば仮りに控訴会社の都合により設計業務を縮少するのやむなきにいたったとしても、当初の採用趣旨に準じた他の職種職場に配転する等の余地がないわけではなく、これをもって直ちに解雇を導くべき「やむをえない業務上の都合」があったものとすることはできない。 (中 略) 被控訴人の解雇は被控訴人の成績や勤務態度とは全く関係なく、また設計掛の組織上の変更の有無とも関係なく、会社の上層部で一方的に決定されたものであり、この点からしても、ドルショック対策上会社全体の人事管理の一環として被控訴人を特に整理対象として選んだ理由は明確でないというべきである。 (中 略) 昭和四六年八月一二日以降において控訴会社が被控訴人を解雇しなければ被控訴会社の事業経営上困難を生ずる状態にあったものとは到底認められず、従って控訴会社主張の解雇理由が「やむを得ない業務上の都合」という就業規則上の要件を充足するに足るものと認めることはできないものといわなければならない。 |