ID番号 | : | 00797 |
事件名 | : | 地位確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本ユニカー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 企業外政治活動に関連して、道路交通法違反、往来妨害罪及び業務妨害罪の嫌疑により現行犯として逮捕、勾留されたために長期欠勤に及んだこと等を理由として解雇された従業員が、従業員としての地位確認、賃金支払を請求した事例。(一審 一部認容、一部棄却、当審 原判決取消、請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 民法627条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 逮捕・拘留 |
裁判年月日 | : | 1976年9月13日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和50年 (ネ) 2388 |
裁判結果 | : | (上告) |
出典 | : | 労働民例集27巻5号464頁/時報840号112頁/タイムズ345号248頁 |
審級関係 | : | 上告審/03336/最高三小/昭53. 2.14/昭和51年(オ)1306号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 被控訴人に対する逮捕勾留については、前記一の2の(一)に認定の諸事実が認められ、被控訴人は、結局罰金ではあるが有罪の判決をうけたのであって、右の逮捕及び勾留を違法もしくは不当とすべき理由はこれを見出だすことができない。したがって、被控訴人の欠勤はその責に帰すべき事由によるものであることが明かである。のみならず、本件において、被控訴人の継続九一日間(暦日計算による。)に及ぶ欠勤について、使用者たる控訴人に対し、前記就業規則二三条二号の規定にかかわらず、社会通念上これを不問に付することを期待すべき特段の事情のあることについてはこれを窺うに足るものがない。 本件解雇は、被控訴人の労務不提供(欠勤)を理由とするもので、被控訴人が控訴会社の対外的信用もしくは職場秩序に悪影響を及ぼす行為をしたことを理由とするものではない。労務の提供は労働契約関係における労働者の基本的義務であって、長期にわたってその義務の履行がなされないときは、使用者は、それが使用者の対外的信用もしくは職場秩序に影響を及ぼすと否とにかかわりなく、解雇しうべきである。 就業規則に定められた解雇事由が存する場合においても使用者がこれによって解雇をするについては、その解雇事由たる事実自体のほかに諸般の事情を綜合して判断するのが当然であろう。本件においては、被控訴人の欠勤の日数、その原因を考慮しただけでも解雇は適法と考えられるが、控訴人が判断の過程において、そのほか被控訴人の経歴詐称の事実及び平素の勤怠状況などを考慮したのは当然で、これによって解雇が違法となるいわれはない。被控訴人の平素の勤怠状況として考慮された欠勤、早退、遅刻などが被控訴人の病気によるもので、控訴人の許可をうけたものであっても同じことである。 |