全 情 報

ID番号 00802
事件名 地位保全仮処分申請控訴事件
いわゆる事件名 モービル石油事件
争点
事案概要  現住建造物放火等の嫌疑で逮捕・勾留され、そのため長期間にわたって欠勤したことを理由に解雇された試用労働者が、従業員たる仮の地位の保全を求めた事例。(一審 申請却下、二審 控訴却下、申請却下)
参照法条 民法627条
労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 逮捕・拘留
裁判年月日 1977年9月29日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (ネ) 1108 
裁判結果 却下
出典 労経速報967号36頁
審級関係 一審/03440/東京地/昭51. 3.24/昭和48年(ヨ)2264号
評釈論文
判決理由  控訴人は、およそ、逮捕、勾留による従業員の不就労は、不可抗力によるものであって、従業員の責に帰すべきものとはいえないというが、逮捕、勾留されていることによって就労しようと思ってもそれができないならば、就労できないことは不可抗力によるものということができても、そのことから直ちに就労しないということが従業員の責に帰すべき事由によるものでないと結論づけることができないことは、その論理をたどって行けば極めて明らかなことである。控訴人は、控訴人に対する逮捕、勾留は全く身に覚えのない被疑事実を理由とする不当なものであるというが、右事実を裏付けるに足る疏明はないのみならず、被控訴人に控訴人に対する逮捕、勾留が正当なものか、不当なものかの判断を強いることはできないし、その判断をさせることも適当でない。前説示のように、被控訴人は、控訴人の身柄釈放の見通しなどについて調査したが、早期に釈放される可能性については見通しが得られなかったのであるから、控訴人に対する逮捕、勾留の当、不当にかかわりなく、試用期間中における「業務不適当」として控訴人を解雇した被控訴人の意思表示はこれを無効とすべき理由はない。