ID番号 |
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00822 |
事件名 |
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解職処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 |
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宮崎県教委事件 |
争点 |
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事案概要 |
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条件附採用期間中の職員に対し県教委がなした分限処分(解職)につき、載量権の濫用であるとして、取消を求めた事例。 |
参照法条 |
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地方公務員法22条1項 |
体系項目 |
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労働契約(民事) / 採用内定 / 公務員 |
裁判年月日 |
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1980年5月26日 |
裁判所名 |
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福岡高宮崎支 |
裁判形式 |
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判決 |
事件番号 |
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昭和49年 (行コ) 1 |
裁判結果 |
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棄却(確定) |
出典 |
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時報981号127頁 |
審級関係 |
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一審/宮崎地/昭49. 5.31/昭和43年(行ウ)6号 |
評釈論文 |
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文部省初等中等教育局地方課・教育委員会月報364号26頁 |
判決理由 |
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地方公務員法(以下「地公法」という。)二二条一項は「臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き、職員の採用はすべて条件附のものとし、その職員がその職において六月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。」と規定し、いわゆる条件附採用制度をとることとしているが、この制度の趣旨、目的は職員の採用にあたって行われる競争試験もしくは選考の方法(地公法一七条三項四項参照)がなお職務を遂行する能力を完全に実証するとはいい難いことにかんがみ、試験又は選考によりいったん採用された職員の中に不適格者があるときはその排除を容易にし、もって、職員の採用を能力の実証に基づいて行うとの成績主義の原則(地公法一五条参照)を貫徹しようとすることにあると解される。したがって、条件附採用期間中の職員は正式採用されるまでの選択過程にあるのであって、右職員に対しては正式採用の職員に対する身分保障規定の一つである職員の分限に関する規定の適用が排除され、分限については条例で必要な事項を定めることができる旨規定されている(地公法二九条の二)。しかしながら、条件附採用期間中の職員といえどもすでに試験又は選考の過程を経て勤務し、現に給与の支給も受け正式採用になることの期待を有するものであり、かつ、右の法令が存する以上法令所定の事由に該当しない限り分限されないという身分の保障を受けるものと解されるけれども、条件附採用制度の前記のような趣旨、目的からして、条件附採用期間中の職員に対する分限処分については任命権者に相応の裁量権が認められることはいうまでもない。もとより、これが裁量は純然たる自由裁量ではなく、その処分が合理性をもつものとして許容される限度をこえた不当なものであるときは裁量権の行使を誤った違法なものになるというべきである(最高裁判所昭和四九年一二月一七日第三小法廷判決・裁判集民事一一三号六二九頁参照)。 |