判決理由 |
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各証言を綜合すれば、むしろ申請人は会社の職場配置に対する不満から同年十月二十四日就労を拒否した後においては終始会社から配置された営業部販売係として就労することを肯んじなかったこと、その現われを示せば、組合はその組合員たる申請人のため一旦は同月二十七日会社に対し申請人を営業部倉庫係に配置換すべく申入れたが会社からこれを拒否されたので方針を改め申請人に就労すべく勧告したところ申請人がこれに耳を藉さず同年十二月初旬に至っても態度を変えないのでその頃やむなく申請人の円満退職を図るべく会社にその旨の申入をなしたこと、又A労働組合は当時その下部組織たる組合が事実上組織から離脱していたので組合の意向にかかわりなく申請人のため同月中会社の申請人に対する職場配置を以て不当労働行為であるとなして東京都労働委員会にこれが救済の申立をなし同委員会は昭和三十四年三月中労使間に斡旋を試み不調に帰したことが一応認められるのである。してみると他に特段の事情がない限り申請人の昭和三十三年十一月三日以降における不就労は同年十月二十四日から同年十一月二日までの不就労とともに就労が可能であったに拘らず、あえて就労しなかったものと推認する外なく申請人主張のように就労不能によったものとは、とうてい認めることができない。なお仮に申請人の右(イ)の主張のとおり会社が組合との協定により申請人をその希望の職場に配置すべく約し又申請人が希望職場として営業部倉庫係を指定していたとしても、会社が申請人を営業部販売係に配置して作業を命じたことは右協定に違反することとなるだけであって、もとよりそれだけで直ちに申請人の就労を不能ならしめたものと考え得ないことは社会通念上明らかである。 |