ID番号 | : | 00876 |
事件名 | : | 賃金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 新聞輸送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社内で対立する他組合の組合員から暴行を受けたため使用者が職場の安全確保のための措置を講ずるまで就労できないとして就労しなかった原告らが右履行不能は使用者の責に帰すべきものとして不就労期間中の賃金(予備的に休業手当)の支払を求めた事例。(一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法26条 民法413条,536条2項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 安全確保のための不就労 |
裁判年月日 | : | 1982年12月24日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和55年 (ワ) 5207 |
裁判結果 | : | 一部認容(控訴) |
出典 | : | 労働民例集33巻6号1160頁/時報1071号142頁/労経速報1142号7頁/労働判例403号68頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 萩沢清彦・季刊実務民事法3号258頁 |
判決理由 | : | 3 ところで、雇用契約に基づいて使用者が労働者から労務の提供を受ける場合において、使用者は、労働者に対し、雇用契約に付随する信義則上の義務として、労務の提供に必要な諸施設を労働者の利用に供することはもとより、労働者の労務の提供及びその準備行為等が安全に行われるよう配慮すべき義務を負っているものと解されるから、使用者が右の義務を尽さないために労働者が労務を提供しようとすればその生命及び身体等に危害が及ぶ蓋然性が極めて高く、そのため労働者において労務を提供することができないと社会通念上認められる場合には、労働者の使用者に対する労務の給付義務は履行不能に帰し、しかもその履行不能は使用者の責に帰すべき事由による履行不能に当たるものと解するのが相当である。そうすると、この場合、労働者は民法五三六条二項によりその間の賃金請求権を失わないものといわなければならない。 |