ID番号 |
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00878 |
事件名 |
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未払賃金請求控訴事件 |
いわゆる事件名 |
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熊本営林局多良木営林署事件 |
争点 |
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事案概要 |
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作業主任者との併任を命じられた営林署の常用作業員が、集材機運転手の欠員補充問題につき組合との間で解決がみられるまで右作業主任の辞令書を返上するとしてその職務に従事しなかったため、その間の賃金が支払われなかったのに対しその支払を求めた事件の控訴審。(控訴棄却、労働者敗訴) |
参照法条 |
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国家公務員法98条1項 |
体系項目 |
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賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 就労拒否(業務命令拒否)と賃金請求権 |
裁判年月日 |
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1983年12月6日 |
裁判所名 |
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福岡高 |
裁判形式 |
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判決 |
事件番号 |
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昭和56年 (ネ) 642 |
裁判結果 |
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棄却 |
出典 |
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労働判例421号52頁/労経速報1180号11頁 |
審級関係 |
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一審/03230/熊本地/昭56. 9.17/昭和53年(ワ)356号 |
評釈論文 |
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小西国友・ジュリスト843号130頁/西修一郎・法律のひろば37巻9号73頁 |
判決理由 |
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「そもそも、賃金請求権は、雇傭契約上の使用者の労働指揮権のもとに労働者が使用者の明示または黙示の指揮命令にしたがった労務の提供(債務の本旨にしたがった労務の提供)をなすことにより、その対価として取得するものである。しかして、国家公務員は、国家公務員法九八条一項により、上司の職務上の命令に忠実にしたがう義務を負うのであるから、法令にしたがい、かつ、上司の明示または黙示の指揮命令にしたがって職務に従事することが、債務の本旨にしたがった労務提供行為となるのである。国家公務員が、上司の職務命令に反し、殊更指示された以外の業務に従事しても、それは債務の本旨にしたがった労務の提供とはならず、賃金請求権は発生しない。したがって、控訴人が本件業務命令に反して、作業主任者の業務に従事せず、指示外の土場の掃除、盤台上での枝打ち等の作業に従事しても、控訴人の賃金請求権は発生しないと解するほかない。」 |