ID番号 | : | 00879 |
事件名 | : | 金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 名村造船事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 整理解雇を無効とし地位保全等を認容する仮処分判決後、右判決の申請人労働者らが、仮配置の職場につき全員一括した事情説明を求めたが拒否され、仮配置職場への一方的な仮就労命令を受けたため、これに応じなかったので賃金支払を拒否されたのに対し、賃金の仮払等求めた仮処分申請事件。(源泉徴収相当分を除き認容) |
参照法条 | : | 労働基準法24条 民法413条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 受領遅滞の解消と賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 1983年12月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ヨ) 5253 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労経速報1179号10頁/労働判例428号63頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 小西国友・ジュリスト858号131頁 |
判決理由 | : | そこで検討するに、被申請人が昭和五四年三月一五日申請人らに対して解雇の意思表示をしたことは前記のとおり当事者間に争いがなく、疎明資料によれば、本件解雇直後申請人らが被申請人に対して解雇の無効と撤回を主張して労務の受領を求めたのに、被申請人はこれを拒んだことが認められるから被申請人は受領遅滞にあるということができ、そのようなときには、労働者において労務の提供をしなくても賃金請求権を失うものではなく、使用者は労働者が労務の提供をしなかったことによる賃金債権不発生をいうためには、その前提として受領拒絶の態度を改め、以後労務を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示するなど自己の受領遅滞を解消させるに足りる措置を講じなければならない。これを本件についてみるに、(中 略)。 これらの事実によれば、被申請人が、申請人らに対して就労を求めるといっても、解雇を撤回するのではなく、仮処分判決に対する控訴を維持したまま、仮の処遇を行なうというのであるから、申請人らの右のような不安定な地位を考慮に入れるときには、就労場所、就労条件等につき、申請人らが全員への説明や全員との協議を求めた場合には、被申請人に特別の支障のない限り、これに応じて申請人らの疑問に答え、その不安を解消させるため十分の説明を尽くすべきであるから、前記のように被申請人が個別的な事情聴取に固執して申請人らの右の求めを拒み続けたまま本件仮就労命令を発したとしても、これをもって被申請人が受領拒絶の態度を改め、申請人らの提供にかかる労務を受領するための措置を講じたものということはできず、差額金および一時金の仮払を求めている本件申請においては、その他被申請人の主張を疎明するに足りる適切な疎明資料はなく、被申請人の主張は理由がない。 |