ID番号 | : | 00898 |
事件名 | : | 仮処分控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 中部日本放送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業時間中はリボン、はち巻等取りはずせとの業務命令への違反等を理由に懲戒解雇された労働者が、右懲戒解雇は不当労働行為に当り無効である等として地位保全等求めた仮処分申請事件の控訴審。控訴棄却、労働者勝訴) |
参照法条 | : | 民法1条3項 労働基準法89条1項9号 労働組合法7条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 無効な解雇と賃金請求権 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務外非行 |
裁判年月日 | : | 1969年1月31日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ネ) 1068 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集20巻1号58頁 |
審級関係 | : | 一審/名古屋地/昭42.12.18/昭和40年(ヨ)1634号 |
評釈論文 | : | 川口実・法学研究〔慶応大学〕44巻1号126頁 |
判決理由 | : | 〔賃金―賃金請求権の発生―無効な解雇と賃金請求権〕 組合には、所属組合員が組合活動に関連して解雇処分等を受けた場合に備えて、「組合員救済規定」が設けられ、必要な救済を実施し、本件解雇後も被控訴人に対し、右規定に基き、組合員の臨時拠出等により賃金相当額の生活援助金の支給がなされていること、同規定には右援助金の返還義務に関する規定は存在しないので、単なる貸付金等ではなく、被救済者の必要限度の生活維持資金として可成り安定性を有するものであること、および被控訴人に対する健康保険料事業主負担分も同組合において負担支出していることが一応認められる。けれども、かかる組合の救済措置自体、被控訴人の解雇による生活の困窮を救うためのあくまで臨時的、応急的措置にすぎないから、かかる事情があるからといって、本件仮処分(特に賃金支払を命ずる仮処分)の必要性を阻却するものとは認められない。 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―職務外非行〕 被控訴人の前記赤鉢巻着用行為およびA部長に対する名誉等毀損行為を検討すると、被控訴人のした行為は、就業規則所定の懲戒事由には当るけれども、控訴人会社の業務を著しく阻害して職場秩序を乱し、かつ信用を失墜させる等会社に重大な損害を与えたものとして、企業秩序を維持、確保するためやむなく解雇せざるを得ないような事由には未だ該当しない。しかも、控訴人会社の就業規則六九条には、懲戒処分として解雇に至るまで六段階の定めがあり、本件争議に関し、懲戒処分を受けた他の組合役員との権衡上から考えても、本件懲戒解雇は、被控訴人に対し極めて過酷な処分であって、客観的妥当性を欠き、控訴人会社の有する裁量権の範囲を著しく逸脱し、解雇権を濫用したものとして、その処分は無効というべきである。 |