ID番号 | : | 00926 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本特殊鋼管事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 甲会社がその従業員を解雇し、被解雇者の退職に関する特別手当請求権を放棄させる代りに同人を乙会社に雇用させる義務を負担した場合に、乙会社が同人を正式に雇用しなかった場合の甲会社の責任が争われた事例において、民法五三六条と労働基準法二六条の関係について判断を示した例 |
参照法条 | : | 民法536条2項 労働基準法26条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 休業手当 / 休業手当の意義 |
裁判年月日 | : | 1950年4月21日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和25年 (ヨ) 299 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集1巻2号258頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 民法第五百三十六条第二項(労働基準法第二十四条)と労働基準法第二十六条の関係が問題となるのであるが、 (1)特約なき限り、右第二十六条が「百分の六十」の休業手当を支払うべきことを要求することにとどめている点に徴すれば、同条にいう「使用者の責に帰すべき事由」とは、民法第五百三十六条にいう「債権者の責に帰すべき事由」よりは範囲がせまく、休業をするに付き、使用者側に不可抗力まではいたらないが、或る程度やむを得ない事情(主として、経営経済上の理由に基くものであって、たとえば、休業をしなければ、企業が将来成り立たないというような事情)が認められる場合に限り右第二十六条の適用がある。(かく解することによって、使用者が経営者として有する利益と労働者の最低限度の生活とを調和させることができるのである。) (2)右第二十六条が、休業による余剰の労働力による収益を問うことなく平均賃金の百分の六十を労働者に確保していることにかんがみれば、民法第五百三十六条第二項但書による利得の償還は百分の四十を限度とする。 (3)民法第五百三十六条第二項による賃金を請求するためには、労働者は労務を提供しなければならないが、休業手当の場合は、これを要しないと解すべきである。 |