ID番号 | : | 00927 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 国際産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 金融の困難その他の事由による休業につき、労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」に該当するが、民法の「債権者の責に帰すべき事由」には該当しないとした事例。 |
参照法条 | : | 民法413条, 労働基準法26条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 休業手当 / 労基法26条と民法536条2項の関係 |
裁判年月日 | : | 1950年8月10日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和25年 (ヨ) 2154 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集1巻4号666頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 労働基準法第二十六条と使用者の責に帰すべき事由による履行不能(民法第五百三十六条第二項)ないし債権者の受領遅滞(民法第四百十三条)との関係を考察すると労働基準法第二十六条が特約のない限り、平均賃金の「百分の六十」の休業手当の支払を要求するにとどめている点に徴すれば、同条は、使用者の立場を考慮しつつ、右民法の規定の要件を緩和して、その適用範囲を拡張することにより、一定の限度において労働者の地位を保護しようとするものであると解することができる。すなわち、民法にいう「債権者の責に帰すべき事由」とは、債権者の故意、過失又は、信義則上これと同視すべきものを意味するものとして、極めて狭義に理解せられているのであるが、本条の「使用者の責に帰すべき事由」とは、これよりもひろく、企業の経営者として不可抗力を主張し得ないすべての場合(たとへば、経営上の理由により休業する場合)を含むものと解すべきである。 本件の場合は、右第二十六条にいう「使用者の責に帰すべき事由」に該当し、民法の「債権者の責に帰すべき事由」には該当しない、と解するのが相当である。 |