ID番号 | : | 00930 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 田中鉄工所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 肺結核を理由とする休職および就業禁止処分につき、効力停止および金員支払の仮処分申請がなされ(認容)、労働基準法二六条が民法上の危険負担に関してその範囲を制限すると主張された事例。(消極) |
参照法条 | : | 民法536条2項 労働基準法26条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 休業手当 / 労基法26条と民法536条2項の関係 |
裁判年月日 | : | 1958年8月13日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ヨ) 18 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集9巻5号791頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 秋田成就・ジュリスト185号61頁 |
判決理由 | : | そこで進んで被申請人会社に対し賃金を仮に支払うべきことを命ずる仮処分命令申請の当否に付考察するに、被申請人会社においては従業員に対する賃金支払の方法が毎月十日前月分を支払う定めであり、申請人の前記休職命令当時における税金額を差引いた平均賃金が一ケ月金一万六千円、一日の平均賃金が金五百三十三円であること、並びに被申請人会社が申請人に対し前記休職を命じた日の翌日たる昭和三十二年十二月二十六日以降賃金の支払をなさないことは当事者間に争ないところ、右休職命令の無効なること前示の通りである以上、申請人の昭和三十二年十二月二十五日以降の休業は専ら被申請人の責に帰すべき事由に基くものというべきであって、被申請人は申請人の右休業に付その間の双務契約たる労働契約上全部の危険を負担すべく、従って申請人の休業期間に対しても被申請人は賃金全額の支払義務があり、被申請人援用の労基法第二十六条は右危険負担に関してその範囲を制限する趣旨でなく、右民法上の原則に基き負担すべき危険のうち平均賃金の百分の六十までの範囲に付ては特に(罰則労基法第百二十条)を設けて使用者に対し強制的にその支払を命じ以て労働者の最低生活を保障せんとする政策規定であると解すべきものであるからこの点に関する被申請人の主張は採用できない。 |