ID番号 | : | 00933 |
事件名 | : | 賃金支払請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 小倉綜合補給廠事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 全駐労小倉支部による一〇項目要求に関連して米軍が就労を阻止した事件で就労を拒否された従業員が賃金を請求した事例。 |
参照法条 | : | 民法536条2項 労働基準法26条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 休業手当 / 労基法26条と民法536条2項の関係 |
裁判年月日 | : | 1962年7月20日 |
裁判所名 | : | 最高二小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (オ) 522 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 民集16巻8号1684頁/訟務月報8巻10号1477頁/裁判集民61号753頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 窪田隼人・民商法雑誌48巻5号746頁/渡部吉隆・法曹時報14巻9号140頁/蓼沼謙一・新版労働判例百選〔別冊ジュリスト13号〕88頁 |
判決理由 | : | しかし、駐留軍労務者は、政府に雇用されて日本に駐留するアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者であって、その労働関係は私企業におけると同視し得ない面があるとしても、少くとも給与に関する限り、私企業の労働者と区別して取り扱うべき合理的根拠は見い出し難く、また所論のごとく、日本政府とアメリカ合衆国との間に締結されたいわゆる労務基本契約により、日本政府が駐留軍労務者に支払った賃金その他の給与の費用はアメリカ政府から償還を受ける関係上、本件給与規程の休業手当に関する条項が労務基本契約附属スケジュールAの規定と符合するように立案されたとしても、スケジュールAには休業手当につき本件給与規程の休業手当に関する条項に相応するもののほか別段の規定はなく、しかも、原判決の確定した事実によれば、右規程の立案にあたり民法五三六条二項の適用を排除せんとする特段の配慮はなされなかったというのであるから、本件給与規程の休業手当に関する条項は、原判示のように、労働基準法二六条と同様、休業期間中における労働者の最低限度の生活を保障するため特に設けられた規定であって、軍の都合による休業が民法五三六条二項にいう「債権者ノ責ニ帰スベキ事由」に基づく履行不能に該当し、労務者が政府に対し全額賃金の支払を請求し得る場合にも、その請求権を平均賃金の六割に減縮せんとする趣旨に出たものではない、と解するのを相当とす。 |