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ID番号 00961
事件名 給付返還義務不存在確認本訴請求及び不当利得返還反訴請求事件
いわゆる事件名 東京都職員組合事件
争点
事案概要  勤評反対の一斉休暇斗争に参加した教員に対する過払分の賃金カットが労働基準法二四条に違反するとして右カット分の支払を請求した事例。
参照法条 労働基準法24条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整
裁判年月日 1962年10月31日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和34年 (行) 3 
昭和35年 (行) 51 
裁判結果 (控訴)
出典 行裁例集13巻10号1888頁/タイムズ138号110頁/教職員人事関係裁判例集3号202頁
審級関係 控訴審/00970/東京高/昭42. 3. 1/昭和37年(ネ)2746号
評釈論文
判決理由  原告らに対する給与の支給については、労働基準法第二四条第一項本文所定の賃金全額払の原則が、同項但書所定の除外事由がない限り、適用されるところ、被告がした原告らに対する右給与の差引調整は、昭和三四年三月分の給与の全額を支給しない点において、(右差引調整が法律上相殺となるかどうかについては、ここでは論及しない。)賃金全額払の原則に反し、違法であることは明らかである。被告は、右給与の差引調整は労働基準法第二四条第一項但書所定の除外事由である法令の別段の定に基づいてしたものであると主張し、その法令の定として都給与条例第一六条第一項を挙示するのであるが、「同条項は、職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認のあった場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二〇条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」と、規定し、給与の減額の事由とその基準を定めているだけで、その減額すべき給与額を次の給与期間以降の給与から差引くことができるかどうか、すなわち、給与の一部控除の能否についてはなんら触れるところがないのであるから、都給与条例の右規定は労働基準法第二四条第一項但書にいう法令の別段の定に該当しない。それ故、他に特別の主張、立証のない本件では、被告がした原告らに対する右給与の差引調整は違法であって、許されないものといわなければならない。