ID番号 |
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00991 |
事件名 |
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不当労働行為救済命令取消請求事件 |
いわゆる事件名 |
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済生会中央病院事件 |
争点 |
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事案概要 |
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職場集会・争議行為に対して警告書を発したこと、チェック・オフの中止等を不当労働行為とした中労委命令に対し、使用者側がその取消を請求した事例(却下・棄却)。 |
参照法条 |
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労働基準法24条1項 |
体系項目 |
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賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / チェックオフ |
裁判年月日 |
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1986年1月29日 |
裁判所名 |
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東京地 |
裁判形式 |
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判決 |
事件番号 |
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昭和55年 (行ウ) 10 |
裁判結果 |
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却下 棄却 |
出典 |
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労働判例467号18頁 |
審級関係 |
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評釈論文 |
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判決理由 |
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以上の事実を基礎に検討するに、原告病院は支部組合との書面による合意がないまま、一五年間にわたり支部組合のためにチェック・オフを行ってきたことが認められる。ところで原告済生会は右チェック・オフは労働基準法二四条に違反している旨主張するのでこの点について判断するに、右労働基準法二四条は賃金が労働者にとって重要な財源であって日常必要とするものであり、確実に全額受領させることによって、その生活に不安のないようにし、また一部留保されることによる事実上の拘束から労働者を保護するために設けられたものであって、書面による合意もその明確性を担保するものであって労働者保護のためのものであることは明らかである。そしてチェック・オフは本来組合が行うべき組合費等の徴収を組合に代って使用者が行いこれを組合に渡す一種の便宜供与ではあるが、組合にとってみれば個々に集める時間的労力を省き、また確実に組合費等を徴収できることから組合財政を確固たるものとすることができるので、組合の団結権の確立に寄与し、延いてはそれが労働者の団結権保護に資することになるのである。このような労働基準法二四条も、チェック・オフもいずれも労働者を保護するためのものであることからすると、チェック・オフが書面によらない合意によるものであったとしても、右二四条の趣旨には反せず結局同条に、牴触しないと解すべきであり、この点に関する原告の主張は理由がない。 |