ID番号 | : | 01001 |
事件名 | : | |
いわゆる事件名 | : | 西日本新聞社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 平和協定に反対する指名スト、部分ストに対するロックアウトと賃金請求権が争われた事例。 |
参照法条 | : | 民法413条,536条2項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / ロックアウトと賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 1964年12月18日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労経速報519号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 四、使用者が雇傭関係にある労働者の労務の提供を拒否するときは、使用者は民法第四一三条により履行の提供ありたるときより受領遅滞の責任を負担するが、信義誠実の原則により履行の提供を拒否することを相当と認むべき場合は右責任を免れるものと解すべく、また使用者が労働者の労務の提供を拒否したことにより労働者が労務を提供することができなかったときは使用者の責に帰することができない事由による場合でない限り使用者は民法第五三六条第二項本文に従い賃金支払義務を免れるものではない。しかして信義則上受領拒否を相当とする場合には使用者は民法第五三六条第二項本文の適用についても労務提供に関する履行不能の帰責事由なきものとして、賃金の支払義務を負担しないものと言わなければならない。 (中 略) 使用者が労働者の争議行為に対する対抗手段として所謂ロック・アウトによる労務提供の受領拒絶を通告した場合と雖も右法理の適用を見ることには変りがない。ところで使用者がロック・アウトにつき民法第四一三条による受領遅滞の責任を負わない場合は、労働者の争議権が保障せられ民事上の免責が認められていることに鑑み、労働者の争議行為が企業の存立自体を危殆に陥れ又は使用者に損害を与えるとか、その他使用者にこれを受忍させることが信義則上著しく衡平を失し不相当であると認められる場合であることが必要である。 これを本件について考えると、A労働組合の長期に亘る波状スト(その間にB労働組合のストを含む)により会社職制は新聞発行の非常工程の実施及び発送職場の秩序維持のために疲労困憊の限界に達し、新聞発行の可能性が困難視される状態になったこと、A労働組合およびその組合員が発送職場の教宣をめぐり長期連続して職場秩序を甚だしく紊乱したことは既に認定したところである。 |