ID番号 | : | 01003 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 博多自動車事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合の時限スト等に対してなされたロックアウトは、先制的攻撃的なものであり違法であるとして民法五三六条二項に基づき賃金支払の仮処分を求めた事例。(申請認容、ただし原告の一部については当時長期欠勤中として申請却下) |
参照法条 | : | 民法536条2項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / ロックアウトと賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 1965年10月30日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (ヨ) 343 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集16巻5号799頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 使用者が雇用契約関係にある労働者の労務の提供を拒否した場合、その責に帰することの出来ない事由による場合でない限り民法第五三六条第二項本文によって、労働者に対し反対給付たる賃金支払義務を免れ得ない。このことは、使用者が労働争議の手段たるロックアウトに訴えることによって労働者の労務の提供を拒否するに至った場合においても、同様と解される。即ち、労働者の賃金支払請求権が問題とされる限り、ロックアウトの当否は、結局右の免責事由の有無の問題に帰着するものである。 ところで、ロックアウトにおいて右の免責事由ありとするには、労働者の争議権が憲法上保障せられ民事上の免責が認められていることに鑑み、労働者の争議行為によって企業の存立自体が危機に瀕するか、あるいは、これに準ずる事態に対処しようとする場合であることが必要と解される。ただ、労働者の争議行為が著しく違法なものである場合あるいはその程度に至らなくても違法な争議行為が頻発する場合であって、しかもそれにより経営秩序が破壊されるというような事態にあっては、使用者にこれを受忍させることは信義則上衡平を失するので、右のような事態に対処せんとするロックアウトにおいては、右の免責事由を肯認するのが相当と解される。 |