ID番号 | : | 01006 |
事件名 | : | 賃金支払い仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 高知放送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合による部分ストに対抗して会社の行ったロックアウトは違法であるとして、組合員らがロックアウト期間中の賃金の仮払い等を求めた仮処分申請事件。(一定限度額での仮払いのみ認容) |
参照法条 | : | 民法536条2項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / ロックアウトと賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 1968年3月8日 |
裁判所名 | : | 高知地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ヨ) 129 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集19巻2号351頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 使用者がロックアウトをした結果、賃金の支払義務を免れうるかどうかは、一般私法の原則に従って、当該ロックアウトに出たことが民法第五三六条第二項の「債権者の責に帰すべき理由」に該当するか否かによって決すべきものと解するのが相当である。 (中 略) たとえば、ロックアウトが緊急避難行為に該当し、その他必要やむをえない理由があるときには、使用者の責に帰すべからざる事由による労務の不受領と解すべきであるから、労働組合が使用者に著しい損害を及ぼすような争議行為に出ている場合あるいはそのような争議行為に出ることが明白である場合等争議行為によって発生しまたは発生するおそれのある著しい損害から企業を防衛する必要上緊急やむをえずしてロックアウトを実施したような場合には、使用者は、ロックアウトの対象となった労働者に対する賃金の支払義務を免れうるものと解するのが相当である。 (中 略) 被申請人は、六月一〇日をもって、本件ロックアウトを中止すべきであったと認められるので、被申請人が、同月一一日以降本件ロックアウトを継続したことは違法というべきであり、いずれも成立に争いがない甲第五号証の二二ないし五六に申請人Xの本人尋問の結果を総合し、弁論の全趣旨を合わせ考えれば、組合は、同日以降連日にわたって、就労の意思を表明し、あるいは就労を要求して来ていることが認められ、右認定に反する疎明も存しないので、結局、同日以降の本件ロックアウトによる労務の受領拒否は、被申請人の責に帰すべき事項による労務供給義務の履行不能に該当するものというべきであり、被申請人は、民法第五三六条第二項により、組合員である申請人らに対し、賃金の支払義務を免れえないものといわなければならない。 |