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ID番号 01031
事件名 賃金請求控訴事件
いわゆる事件名 福岡ラッキータクシー事件
争点
事案概要  運行記録計のチャート紙装着拒否闘争を行ったタクシー乗務員らが右闘争期間中の賃金及び休業手当の支払を求めた事例(一審棄却控訴棄却)。
参照法条 民法536条2項
労働基準法3章
労働基準法26条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 争議行為・組合活動と賃金請求権
裁判年月日 1985年9月28日
裁判所名 福岡高
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (ネ) 413 
裁判結果 棄却(上告)
出典 労働民例集36巻4・5合併号654頁/時報1169号153頁/タイムズ583号74頁/労働判例465号45頁/労経速報1245号14頁
審級関係 一審/00874/福岡地/昭57. 6.14/昭和52年(ワ)1649号
評釈論文
判決理由  「(四)以上を要するに、控訴人らは、労働契約上その内容とされていたチャート紙の装着をせずそのためタクシーの運行を不能にし、労働契約の内容に従った労務の提供をしなかったのであるから、労働契約上の労務の提供をしたことを前提とする賃金等請求権はなく、また、被控訴会社がロックアウトをしたとは認められないので、その違法であることを前提とする賃金等の請求権も認められない。そして、控訴人らのその他の民法五三六条二項の債権者たる被控訴会社の責に帰すべき事由があるとする請求は、チャート紙を装着することが本件労働契約上使用者がすべきものか乗務員がすべきものかどうか判然としていなかったならばともかく、就業規則等により乗務員たる控訴人らの義務内容となっていることが明らかであり、右チャート紙の装着は乗務員にとっては極めて容易な作業であったのに、適法な争議行為とはいえ、控訴人らにおいて争議行為としてチャート紙の装着を拒否して、タクシーの運行を不能にしたものであるから、被控訴会社においてチャート紙を装着することがその意思さえあればさほど困難でなく可能であったとしても、労働法上の衡平の見地からも、契約上の信義則上からも、被控訴会社がチャート紙を装着しなかったからといってその責に帰すべき事由があったと解することはできず、控訴人らの賃金等の請求は理由がない。」