全 情 報

ID番号 01032
事件名 未払賃金請求控訴事件
いわゆる事件名 明治生命事件
争点
事案概要  月掛生命保険の外務職員である控訴人らがストライキを行ったため被控訴会社が給与のうち「勤務手当」等をいわゆる固定給として削減したことに対し、控訴人がその支払を求めた事例。(控訴認容)
参照法条 労働基準法24条1項
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 争議行為・組合活動と賃金請求権
裁判年月日 1966年11月4日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和40年 (ネ) 326 
昭和40年 (ネ) 2296 
裁判結果
出典 労働民例集17巻6号1334頁/時報469号60頁
審級関係 上告審/01002/最高二小/昭40. 2. 5/昭和37年(オ)1452号
評釈論文 朝川伸夫・法学新報74巻9・10合併号1頁
判決理由  以上認定の控訴人等の勤務の態様、及び給与の実態に基き、本件賃金削減の対象となった前記給与項目を検討してみると、(2)勤務手当及び(8)交通費補助は労働の対価として支払われるものではなく、職員に対する生活補助費の性質を有することは明らかであるから、右項目の給与は控訴人等が勤務に服さなかった故を以って削減し得るものではないものというべく、(1)給料(3)地区主任手当(4)功労加俸(7)出勤手当については、その者が一定の資格にとどまる限りその期間中の募集成績等に関係なく一定額が支給されるという点においては固定的な給与のようにもみられないわけではないが、それは過去において完成された仕事の量に比例して決定された報酬を、所得の安定、給与の平均化を図る趣旨で、或る期間に分割支給されるという位の意味しかなく、且亦、右給与が職員の勤務に服した時間の長短を加味して決定された面もないわけではないが、勤務時間拘束が給与の基準としてではなく、主として会社の業務管理の手段として設けられたものである点に着目するときは、右給与はすべて外勤職員の募集、集金等の成績に応じて決定された給与であって、少くとも本項冒頭掲記の意義での固定給ではないものと認めることができる。
 然らば控訴人等が同盟罷業を行ったことに対し、被控訴人において同人等の昭和三十二年六月分の給与のうち原判決添付別表(二)の(1)ないし(4)、(7)及び(8)の各二十五分の二を削減したのは、削減し得ざる給与を削滅した違法のものというべきである。