ID番号 | : | 01042 |
事件名 | : | 仮処分異議申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 名古屋放送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | テレビ放送会社の従業員が、解雇されたので従業員としての地位保全、賃金仮払の仮処分を申請し、これを認容する決定を得、更にその後の昇給等による増額分の仮払を求める仮処分を申請し、これを認容する判決、決定を得たが、これについて異議申立をした事例。(賃金仮払の原決定認可) |
参照法条 | : | 労働基準法11条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権 |
裁判年月日 | : | 1973年3月30日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和45年 (モ甲) 575 |
裁判結果 | : | 認可 |
出典 | : | タイムズ298号325頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 《証拠》によれば、会社就業規則には五〇条「従業員の給与については別に定める給与規則による。」旨の規定、これに基づき制定された給与規則には二九条「会社の業績に応じて賞与を支給することがある。賞与の支給額、配分、支給期日その他の取り扱いについてはその都度決定する。」旨の規定があることが認められ右認定に反する疎明はない。そして、昭和四五年八月一五日の会社の決定は、右規定に基づくものであることは前記のとおりである。 右給与規則二九条のように具体的支給基準その他が年度毎又は半期毎の使用者の都合による決定に委ねられている条項(いわゆる白地部分を含む条項)も就業規則の受任規定である以上法律上は就業規則の性質を有するものであるから、同条に基づきなされた会社の右決定は同条の白地部分を本件賞与の支給に関する具体的基準につきこれを補充したものであり、その意味において同条と一体不可分な関係に立つものであることは明白である。 ところで、多数の労働者を使用する我が国の近代企業においては労働者を雇傭するに際し、特別事情なきかぎり賃金その他の労働条件は就業規則の定めるところによる旨の労働契約を労働者と結ぶという労働慣行が古くから存する。 従つて特別事情の存したことについては何らの資料の存しない本件においては、右慣行に照らし申請人は会社に雇傭された当初において会社との間に賃金その他の労働条件は就業規則の定めるところによる旨の労働契約を結んだものと認めるのが相当である。 してみると、毎期の賞与に関する前記給与規則二九条ないしこれと一体をなす本件賞与支給基準を定めた会社の前記決定も当然に申請人と会社との間の労働契約の内容となることは明らかである。 そして前記のとおり申請人は現に第一次仮処分により会社の従業員の地位を保有しているのであるから右労働契約は現在でも有効に存続しているものというべく、会社は申請人が被解雇者であることを理由として右労働契約に基づく義務の履行を拒むことはできない道理である。 従つて申請人は、会社に対し本件賞与につき前記決定に基づき算出された金員の支払請求権(但し査定部分は原則として会社の個別的査定の意思表示が必要であるが、本件では申請人は査定部分は請求していない。)を有するわけである。 |