ID番号 | : | 01056 |
事件名 | : | 冬期賞与仮払い請求仮処分異議控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 富里商事事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社が発表した賞与支給細則に関し組合が増額を求めたのに対抗して、会社が右細則の支給額につき同意書を提出した従業員にのみ賞与を支給したため、右同意書の提出を拒否した組合員たる従業員らが、賞与の仮払を求めた事件の異議控訴の事例。(棄却、労働者勝訴) |
参照法条 | : | 労働基準法24条1項 民法624条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 支給日在籍制度 |
裁判年月日 | : | 1983年3月29日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和56年 (ネ) 2578 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報1080号151頁/労経速報1161号10頁 |
審級関係 | : | 一審/01050/千葉地佐倉支/昭56.10.12/昭和55年(モ)29号 |
評釈論文 | : | 小西国友・季刊実務民事法4号236頁 |
判決理由 | : | 労働条件を定型的に定めた就業規則は、使用者と労働者との間の労働条件はその就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして個々の労働契約の内容になるものということができる。そして、使用者の定める就業規則の具体的内容が既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課するようなものである場合はともかく、そうでない場合には、当該事業場の労働者は、それに対し個別的に同意を与えたかどうかを問わず、その内容が当然に労働契約の内容になるものと解される。本件においては、細則が就業規則の一部であることは当事者間に争いのないところであって、細則の定めが従業員の既得の権利を奪い、従業員に不利益な労働条件を一方的に課するものであるという点についてはなんら主張がないのであるから、細則は、昭和五四年五月発表された時点で全従業員の個々の労働契約の内容となっているものというべきであり、(中 略)。 細則に基づく冬期賞与請求権は、細則にその算出方法が明記されていることは前記のとおり当事者間に争いのないところであり、これに基づいて個々の労働者の具体的な金額が算出されるものであるから、期限つきではあるが、具体的な請求権として発生しているものというべきである。 |