ID番号 | : | 01078 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 三一書房事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 経営悪化打開のための希望退職者募集に応じて退職した従業員が、会社の都合による退職について退職金を増額する旨定める退職金規定に基づいて、右退職金額と支給された退職金額との差額の支払を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法11条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 懲戒等の際の支給制限 |
裁判年月日 | : | 1974年7月25日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和48年 (ワ) 3722 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報753号93頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 以上に見たとおり、本件退職者募集に応ずる希望退職が退職金規定第五条にいう「会社の都合で退職させられるとき」に該当するという原告の主張は、これをたやすく肯定できない。かえって、被告は、当初から希望退職の場合は同条にいう右文言の場合には該当しないという解釈の下に本件退職者募集をし、その解釈は規定の通常の文言の意味に反するものではなく、労働協約の一方の当事者である組合も、原告主張のような解釈を主張しなかったのであるから、同条にいう「会社の都合で退職させられるとき」との文言の意味は、被告主張のように解するほかはない。 (中 略) 右認定した事実によれば、原告の退職は、被告会社の都合による希望退職者募集に応じたものではあるが、被告から少しも強制を受けない原告の自由な意思に基づくものというべきである。したがって、これを被告から解雇された場合に準じて考えることは妥当でないから、退職金規定第五条を解雇された場合に準じて原告の退職に適用すべきであるという原告の主張も、肯定できない。 以上の次第で、原告の退職は、退職金規定第五条にいう「会社の都合で退職させられるとき」には該当しない。そして、原告が本件退職者募集に当たって被告が提示した基準による額の退職金の支給を受けたことは前記のとおりであるから、原告には、もはや被告に対し請求し得る退職金はない。 |