ID番号 | : | 01085 |
事件名 | : | 退職金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 灘萬・灘萬商事事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 死亡により退職した「取締役」の遺族が、同人は管理職立場の従業員であったとして、退職金等の支払を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号の2 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1979年11月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (ワ) 6536 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労経速報1035号13頁/労働判例334号45頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 一般に、労働者は、個別的な労働契約において退職金の支払が特に約されている場合、労働協約又は就業規則において退職金の支給要件が明確に定められており、労働組合法一六条又は労働基準法九三条を媒介として労働契約の内容となっている場合、或いは当該企業において退職金の支払について、明確な支給要件(退職金の算定基準を含む。)に従った慣行が存する場合に、使用者に対し、退職金債権を取得すると解するのが相当である。 (中 略) 右就業規則の規定を総合すると、被告Y1会社の退職金規定において予定している「従業員」とは、被告Y1会社に所定の手続を経て(ただし、この点は本件においては事柄の性質上重視すべきではない。)入社し、同社の就業規則に定める勤務時間、休日、服務規律等の規定に従って、所定の各勤務場所においてその業務に従事し、その対価として賃金を得ている者であるということができるところ、前記認定事実によると、Aは、被告Y1会社に毎日所定時間に出勤して業務に従事するというのではなく、いわば、勤務日、勤務時間などを特に定めることも、右就業規則に拘束されることもなしに事務処理を行なっていたのであり、その職務としては、代表取締役、取締役の地位にあるときも、また、その地位にないときも一貫して経理、経営に関する事務を管理・監督的立場で処理していたということができ、さらに、Aは、被告Y1会社の職務のみに専念従事するのではなく、同社以外にも被告Y2会社をはじめとして数社の経営又は税務相談等に関与し、その報酬を得ていたものということができる。右の諸点を考慮すると、Aの被告Y1会社における地位は、右退職金規定において予定する従業員には当らないことが明らかであり、また、右従業員に準じて右退職金規定の効力を及ぼすべき場合にも当らないというべきである。 |