全 情 報

ID番号 01090
事件名 退職加算金請求事件
いわゆる事件名 関西汽船事件
争点
事案概要  勤務年数10年以上でかつ年齢50歳以上で退職する場合は特別加算金を支給する旨の退職金協定につき、右退職には定年退職も含まれるとして退職従業員が、右特別加算金の支払を求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法24条,89条1項3号の2
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
裁判年月日 1983年2月15日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ワ) 942 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1145号18頁/労働判例406号54頁
審級関係
評釈論文
判決理由  (退職加算金協定)
 被告は原告の所属するA労働組合(以下適宜、陸上組合という)との間で、昭和五一年四月三〇日、退職手当の加算金につき次記の協定(以下適宜、本件協定という)を結んだ。
 記
 (1)勤務年数一〇年以上でかつ年齢五〇歳以上で退職する場合は退職手当規定額に加え次の特別加算額を支給する。
 (中 略)
 (3)勤続満二〇年以上の者が定年退職する場合、退職手当規定額に加え算定基準額の八カ月分相当額を支給する。
 但し、満二〇年に満たない者については他の船会社に勤務した期間を通算して、満二〇年以上となる場合に限り算定基準額の四カ月分を支給する。
 本件協定は、右1(1)のとおり右特別加算金の支給要件である「退職」につき、限定の文言がなく、右特別加算金と定年加算金が併給か否かにつき、明確な規定も欠くので、その文言をみる限りでは、それぞれの要件に該当すれば、それぞれの加算金が支給されるものというべきところであるが、右1(2)乃至(5)の事情をみれば、本件協定の際、陸上組合及び被告の双方とも、右特別加算金と定年加算金が併給にならないことを当然の前提とし、かつ、右特別加算金の支給対象として中途退職者を念頭に置いていたものと認められるのであり、これに従い、本件協定の内容を合理的に解釈すれば、同協定の(1)に右特別加算金の支給要件として「退職」とあるのは、「中途退職」或いは「定年退職を除く退職」の趣旨と解するのが相当である。
 従って、本件協定は、同協定の(1)の特別加算金は定年退職の場合は支給されない、即ち、右特別加算金と右定年加算金は併給されない趣旨であると解される。
 (中 略)
 以上によれば、原告は定年退職であるから本件協定の(1)に基づく特別加算金の支払を求める権利は発生しない。