ID番号 | : | 01099 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 尾邦支店事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務先会社が営業譲渡されるに伴い退職した従業員が、退職金規定が存在しないところからその額を話し合いにより決定しようとしたが折り合わなかったため、先代の経営者との約束、右話し合いでの会社側提示額等を拠り所に退職金の支払を求めた事例。(一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1984年5月15日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ワ) 8329 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労経速報1190号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 山口浩一郎・労働経済判例速報1220号25頁 |
判決理由 | : | 以上の事実によれば、原告、被告間においては、具体的退職金額を合意によって決定するまでには至らなかったものの、少なくとも、原告の退職に際して原告に対し相当金額の退職金を支払う旨の合意が既に成立していたものと認めるのが相当であると思料する。そして、右「相当金額」については、原告、被告間には退職金に関する就業規則等の規定もなく、また、基準となるような従前の事例の集積もなく、一方、いずれも成立に争いのない(書証略)によっても確立された東京都中央卸売市場での退職金額の基準の慣行も認められず、その金額を確定しうるところではないが、前認定の、被告から退職金額の交渉を一任されていた訴外Aが、その後これを撤回したとはいえ、原告の退職金額として八〇〇万円を呈示した事実からすれば、その支払義務者である被告が右「相当金額」として八〇〇万円までは了承したものと解するのが相当であり、このことと、前認定の諸般の事情を合わせ考慮すれば、右「相当金額」は八〇〇万円を下回るものではないと認めることができ、一方、このような認定の障害となるべき事情は証拠によってはみあたらない。 よって、原告は被告に対し、金八〇〇万円の退職金請求権を有するものと認めることができる。 |