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ID番号 01136
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 札幌市職員事件
争点
事案概要  札幌市の職員が起こした交通事故により損害賠償債権を取得した被害者が、当職員に代位して、市に対して退職金の支払を請求した事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法11条,24条
民法423条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 直接払・口座振込・賃金債権の譲渡
裁判年月日 1972年9月13日
裁判所名 札幌地
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ワ) 422 
裁判結果 棄却(確定)
出典 時報691号89頁/タイムズ292号342頁
審級関係
評釈論文
判決理由  右訴外人が一般の札幌市職員として退職手当支給条例の適用を受ける地位にあったかそれとも単純な労務に従事する職員として単労職員条例の適用を受ける地位にあったかについて原告の主張は明らかではないが、単労職員条例の適用を受ける職員の退職手当金の算出方法については一般の札幌市職員と同様に退職手当支給条例の規定に拠るのであり(単労職員条例施行規則五条二項)、退職手当支給条例に定められた退職手当は、基本的には退職の日における給料月額に勤続年数に応じて同条例三条一項に定める割合を乗じて算出されるが(退職手当支給条例三条一項)、長期勤続者の増率(同三条一項)、特に責任が重い職にあった者や功績があった者の割増し(同三条三項)、短期勤続者の減率(同三条二項)、傷い疾病死亡等による退職者の割増しおよび最低限度保障(同四条、五条、六条)などの定めもあって、勤続に対する報償、功労に対する報償、退職後の生活保障の意味をあわせもつものであり、退職者に単労職員条例一三条二項または退職手当支給条例二条所定の欠格事由がない限り右条例の規定に従って当然に支給されるものであるから、法律上労働基準法一一条にいう「労働の対償」たる性質を有するものというべく、これが支給については労働基準法二四条一項本文の規定が適用される結果、退職者の債権者が民法四二三条によって退職者に代位して退職手当の支払を求めることは法律上許されないところといわなければならない。