全 情 報

ID番号 01144
事件名 退職慰労金等請求事件
いわゆる事件名 不二機械工業事件
争点
事案概要  退職労働者が退職慰労金規程に基づき退職金を請求したのに対し、使用者側が対等額での相殺を主張した事例。
参照法条 労働基準法11条,24条1項
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 全額払・相殺
裁判年月日 1962年4月28日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和30年 (ワ) 4931 
裁判結果 一部認容
出典 労働民例集13巻4号824頁/時報316号25頁
審級関係
評釈論文
判決理由  所謂退職金は、労働者が雇傭関係を離脱した後において支払われるものではあるけれども、労働者が新しい雇傭関係に入らない場合には離脱後の日常の生活を維持する為の重要な財源となるものであり、また事前に退職金の現実の支給が危ぶまれる場合には労働者の人身拘束の結果を生ぜしめ得る危惧がある点で通常の賃金債権と何等異るところがないのである。
 そうすれば、所謂退職金についても労働基準法第二四条第一項の適用をみるべきものといわなければならないから、たとい被告会社が原告等に対しその主張通りの反対債権を有するものと仮定しても、これを原告等に対する退職慰労金債務との相殺のための自働債権とすることをえない(もっとも労働基準法第二四条第一項但書後段所定の一部控除協定がなされている場合はこの限りでないがこのような主張は本件ではなされていない。)。