ID番号 | : | 01149 |
事件名 | : | 行政処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 広島県事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 広島県の輸送用機械器具製造業者に適用される最低賃金の業者間協定が憲法二五条、最低賃金法一条、労働基準法一条に違反するとして広島県下の労働者が県労基局長を相手どって行政処分取消請求をなした事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法1条 最低賃金法1条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 最低賃金 |
裁判年月日 | : | 1961年11月29日 |
裁判所名 | : | 広島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (行) 5 昭和36年 (行) 7 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集12巻6号1033頁/訟務月報7巻12号2446頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 慶谷淑夫・ジュリスト279号80頁 |
判決理由 | : | 原告らは、最低賃金は労働者が憲法第二五条の規定する健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように、また労働者の生活を安定し労働力の質的向上を保障するために客観的に正当な範囲で定められるべきものであるから、労働者は右の趣旨における最低賃金請求権を有する旨主張する。なるほど、憲法第二五条及び労働基準法第一条、最低賃金法第一条の規定の趣旨に鑑みれば、すべての労働者のために健康で文化的な人たるに値する生活を営み得る限度の最低賃金が定められることが望ましいことであることは勿論である。しかし、残念ながら、我国経済の現状に照らして考えるとそれは一の理想論に過ぎず、原告らの主張する如き最低賃金請求権が労働者のために法律上保障されていることを認め得る制定法上の根拠は存在しない。従って、本件各決定における最低賃金額が、右の理想に達しないからといって、これにより労働者たる原告らがその権利を侵害せられたものということはできない。 |