全 情 報

ID番号 01213
事件名 時間外等割増賃金支払請求事件
いわゆる事件名 合同タクシー事件
争点
事案概要  一日の労働時間を二四時間とし隔日で一ケ月一五日間の勤務という条件で就労していた原告らが、労働基準法所定の労働時間を超えて労働させられたとし時間外労働・深夜労働となる部分につき割増手当の支払を請求した事例。(一部認容)
参照法条 労働基準法32条,36条,37条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 違法な時間外労働と割増賃金
労働時間(民事) / 労働時間の概念 / 手待時間
休日(民事) / 休日の概念・特定
裁判年月日 1967年3月24日
裁判所名 福岡地小倉支
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (ワ) 111 
裁判結果
出典 労働民例集18巻2号210頁
審級関係
評釈論文 渡辺章・ジュリスト407号125頁
判決理由  〔賃金―割増賃金―違法な時間外労働と割増賃金〕
 ところで、前記労基法第三七条の規定によると、その文理解釈上前記第一、二、(三)、の認定のごとく同法第三六条の協定等の存しない本件労働契約の場合には被告会社に割増賃金の支払義務がないもののように解されるけれども、同法第三六条の協定等の存する適法な時間外労働等について割増賃金の支払義務がある以上、本件労働契約のごとく違法な時間外労働等の場合には、一層強い理由でその支払義務があるものと解すべきは時間外労働等を規制しようとする同法第三七条の趣旨からみてむしろ当然のことというべきであって、同条項を協定等の存しない場合を除外する趣旨に解する理由はなく、同条項は右協定等の存しない場合についても時間外労働等に割増賃金の支払義務を認めた趣旨と解するを相当とする。
 〔労働時間―労働時間の概念―手待時間〕
 そこで、次に原告らの勤務体制に関連して労基法第三七条のいう時間外労働の意味について考えるに、原告らの一日の勤務は前記第一、二、(二)の認定のとおり午前九時ないし一〇時から翌日の午前九時ないし一〇時までの間であるところ、一日とは原則として午前〇時から午後一二時までの暦日を指すものであるから、右暦日にしたがえば、原告らの勤務のごとく中間に午前〇時を挟む二四時間勤務の場合は、二暦日に亘つておりその各暦日のうち八時間を超える労働が一日八時間を超えるものとして時間外労働となるもののごとくみえるけれども、労働時間の法的規制は労働時間の長さ、すなわち継続労働を問題としているわけであるから、原告らの勤務のごとく二暦日にまたがる場合であつてもこれを通算し、継続して八時間を超える労働時間は許されないものというべく、したがって右八時間を超える労働はすべて時間外労働というべきである。
 〔休日―休日の概念・特定〕
 一日の休日とは通常暦日の午前〇時から午後一二時までを指すものと解せられるが、原告らの勤務のごとく、一日二四時間の勤務の後である午前九時ないし一〇時から継続二四時間使用者の拘束から解放されているような場合には、暦日からは一日とは云えないけれども、労基法上は休日と解すべきである。